横浜在住の作曲家でありジャズピアニスト、鬼武みゆきが、ブラジル出身の盲目のシンガー兼ギタリスト、グラストン・ガリッツァと初めてのコラボレーションアルバム「alvorada/夜明け」を発売した。2人で全国を巡る記念ツアーを10月上旬まで開催中。アルバムには、多国籍のミュージシャンが参加しており、「ジャズやブラジルというジャンルを越えた音を楽しんで」と鬼武は話す。
2人の出会いは、2008年。鬼武のピアノを聴いたグラストンが「感動した」と感想を寄せたことから共作が始まった。インターネットを介して鬼武が曲を送り、グラストンが詩を付けるーという作業を続けてきた。
「当初から、アルバム作りを見据えていた。曲がたまったので、まとめることにしました」と鬼武。今年5月、グラストンが暮らすスペイン・マドリードで録音した。
この街では、さまざまなルーツを持つ人たちが、それぞれを存分に発揮しながら音楽活動をしている。収録に参加したミュージシャンの出身地もアルゼンチン、ウルグアイなどバラエティーに富み、それが作品に生きた。「爽やかなブラジルの風が感じられながら、リズムなどには多国籍な感じが出ていると思います」と鬼武は自信を込める。
収められた10曲は、都会的で繊細な鬼武のメロディーに、グラストンのポルトガル語が優しく響く。タイトル曲の「alvorada(夜明け)」は、「どんな時も日が昇り、一日が始まる」という内容の前向きな歌。人々を元気づけたいという二人の思いが込められた。「たまたま東日本大震災で多くの人が傷ついた時期と重なった。みんなに元気になってほしい」。日本でのツアー後は、フランスなどでも公演を予定している。
記念ツアーの横浜での日程は○9月30日=モーション・ブルー・ヨコハマ(中区) ○10月9日=関内ホール(同) ○同10日=AMANO STUDIO(同)。
(柏尾安希子)
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